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慣れたエアコン工事ほど注意したい室内機の落下事故|基本確認を省かない施工

2026.07.21お知らせ

エアコン工事の経験を積むと、据付板の取付や冷媒配管の接続、室内機の設置までを効率よく進められるようになります。

作業が速くなり、一日に対応できる件数が増えることは、エアコン工事業者にとって大きな強みです。ただし、慣れによって基本確認まで簡単になってしまうと、重大な事故につながる可能性があります。

その一つが、室内機の落下事故です。

室内機は壁の高い位置に設置されます。真下に人がいる状態で落下すれば、大きなけがにつながるおそれがあります。ベッドやソファ、テレビ、家具などを破損させれば、補償の問題だけでなく、施工業者や仕事を依頼した取引先の信用にも影響します。

室内機の落下は、特殊な現場だけで起こる事故ではありません。いつも行っているルームエアコンの取付工事でも、壁の確認や据付板の固定、本体の掛かりが不十分であれば発生する可能性があります。

いつもの壁に見えても構造は同じではない

エアコン工事では、一日に複数の住宅を訪問することがあります。

同じような石膏ボードの壁に見えても、下地の位置や壁材の状態は一件ずつ異なります。新築住宅と築年数が経過した住宅では壁の状態が異なり、過去に何度もエアコンを入れ替えている壁では、古い穴や補修跡が残っていることもあります。

見た目だけで下地の位置を判断し、ビスを打つのは危険です。

下地センサーなどを使用し、柱や間柱の位置を確認します。同時に、筋交いやブレース、電線が通っている可能性を考えながら、穴を開ける位置を決める必要があります。

ビスを締めたときに手応えが弱い場合や、空回りする場合は、そのまま据付板の取付を続けてはいけません。

作業時間を気にして不安のある固定を残すより、一度やり直して適切な位置へ固定したほうが、事故や再訪問を防ぐことにつながります。

据付板が付いていることと固定されていることは違う

据付板を壁へ取り付けると、見た目ではしっかり固定されているように見えます。

しかし、ビスが石膏ボードに入っているだけの場合や、アンカーが壁の中で十分に開いていない場合は、室内機の重量を長期間支えられない可能性があります。

据付板を取り付けた後は、左右や下側を手で動かし、がたつきや浮きがないかを確認します。

水平器で真っすぐになっていることも重要ですが、水平と強度は別の確認です。据付板が水平でも、固定部分が弱ければ室内機の落下事故を防ぐことはできません。

ビスの本数を増やすだけで安心するのも危険です。下地のない弱い場所へ複数本固定しても、壁材そのものが崩れれば据付板は外れてしまいます。

壁の材質や厚さ、室内機の重量を確認し、その現場に適した固定方法を選ぶことが必要です。

室内機が掛かった感覚だけで判断しない

室内機を据付板へ掛けると、上部のフックに乗った時点で本体を支えられる状態になります。

そのため、下側の固定部分が完全に掛かっていなくても、室内機が壁に付いているように見えることがあります。

特に大型の室内機や奥行きのある機種では、本体の裏側が見えにくく、片側だけフックが掛かっていないことに気づきにくい場合があります。

取付後は室内機の左右下部を押し、固定された感触を確認します。軽く手前へ引いて外れないことや、片側だけ大きく動かないことも確認します。

壁との隙間が左右で異なる場合や、室内機の下側を押しても固定されない場合は、力で押し込まず、一度外して原因を確認することが大切です。

掛からない状態には、何らかの理由があります。その理由を確認せずに無理に押し込むと、本体や配管へ負担を残すことになります。

配管の押し返す力を残さない

室内機の下側が据付板へ掛からない原因として多いのが、配管の納まりです。

冷媒配管の曲げ位置がずれている、フレア接続部分が重なっている、ドレンホースや内外接続電線が本体の裏で膨らんでいるといった状態では、室内機が壁まで収まりません。

室内機を強く押し込めば、一時的にフックが掛かることもあります。しかし、配管が本体を押し返す力は残っています。

時間の経過や運転時の振動によって下側のフックが外れれば、室内機が前方へ傾く可能性があります。さらに、配管へ無理な力が加わることで、銅管のつぶれや接続部への負担、ドレンホースの逆勾配など、別の不具合を引き起こすこともあります。

特に左配管や隠ぺい配管では、室内機を掛ける前に配管の位置と接続部分の納まりを考えることが重要です。

力で室内機を収めるのではなく、冷媒配管、ドレンホース、内外接続電線が自然に収まる形を作ります。

入替工事は以前の施工状態も確認する

既設エアコンの入替工事では、古い据付板を外した後の壁を確認する必要があります。

古いビス穴が残っている場合、位置が合えばそのまま使用できそうに見えます。しかし、穴が広がっていたり、周囲のボードが割れていたりすれば、同じ場所への固定は避けなければなりません。

以前の室内機が問題なく付いていたから、新しい室内機も同じ固定方法で問題ないとは限りません。

新しい機種のほうが重い場合や、据付板の固定位置が異なる場合もあります。壁の状態を改めて確認し、新しい機種に合った施工を行うことが必要です。

また、既設工事の配管穴や配管経路に合わせることで、新しい室内機の裏側に無理が生じることもあります。入替工事では既設状態をそのまま引き継ぐのではなく、安全に施工できるかを一度見直すことが大切です。

最後の確認を習慣にする

室内機の取付後は、正面から見た水平や仕上がりだけでなく、左右の隙間、下側フックの掛かり、本体のがたつきを確認します。

試運転では冷えや排水を確認するとともに、室内機から異常な振動やきしみ音が出ていないかも見ます。

据付板の固定が弱い場合や、本体が完全に掛かっていない場合は、運転時の振動によって異音が出ることがあります。

室内機を軽く手前へ引き、簡単に動かないことを確認する工程も必要です。作業に慣れてくると省略しやすい部分ですが、事故を防ぐためには欠かせません。

エアコン工事では、手際の良さと施工品質の両方が求められます。

工事時間を短縮するために確認を減らすのではなく、作業の流れの中に確認を組み込み、自然に行える状態を作ることが大切です。

壁の状態を確認する。据付板を手で動かす。本体のフックを確認する。配管の押し返しがないかを見る。最後に室内機を軽く引いて確認する。

こうした基本作業を一件ずつ積み重ねることが、室内機の落下事故を防ぎます。

安全な施工を続けられるエアコン工事業者は、お客様だけでなく、仕事を依頼する取引先からも信頼されます。見えない部分まで丁寧に確認する姿勢が、継続した仕事につながる施工品質になります。


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